エゴを知る(セッション1)

エゴは、自らの言動や態度の中に表れます。人は日常、当たり前のように、あるいは習慣的に、あるいは常習的にエゴを働かせている場合が多いものです。


その傾向が強く見られるのは、何と言っても夫婦や親子などの家族間ではないでしょうか。

付き合いが長く、慣れ親しんだ間柄であればあるほど、相手に対して我が物顔でエゴを働かせてしまう傾向が見られます。


相手に対して、まるで当然の言動(言い方)であったり、態度であるかのように自分を正当化し、エゴの働きに任せてやり過ごしているために、折角の“気づき”の機会をみすみす見過ごしてしまっているのです。


自我はもちろん、人の霊的成長に必要あって現にこうして己の中に存在しているわけですから、在るものを排除しようともがいて、闇雲に自我と戦うならば、自他ともに疲れ切ってしまうでしょう。

自我の表れである“エゴ”は、その働きをきちんと把握し、自我を上手く舵取りできればよいのです。


エゴの働きに気づくためには、「これはエゴではないか」と常にエゴを意識していることです。また、エゴがどういうものなのか、その実態を学び、知る必要があります。


日常の些細な出来事の中にも、エゴは幅を利かせていますから、具体的事例はいくつでも挙がります。その一例を日常に活かし、意識の成長をはかってゆきましょう。


エゴの働きLesson1:「相手が間違っていることを示そうとする」


(あるご家庭でのこと)

我が家では、主婦である母が台所を仕切っています。母は昔から健康志向が強く、三度三度きちんとした食事を心がけているため、家族に対してもそれなりに目を配り、気配りは欠かせません。


毎回、栄養価に配慮した美味しい食事です。食材の質へのこだわりもさることながら、盛りだくさんでお腹を満足させることに重点が置かれます。

私は時折、主食にとらわれず嗜好品を戴く事もあります。基本的には、お腹が空いていれば食べる、その時々に体が欲する物を摂取しています。


我が家では習慣的に“食事は三度”とほぼ、決まっています。概ね、家族揃って食事をしていますが、私は、その時々の体調や働き方(エネルギー消耗具合)、前回の食事量(エネルギー摂取具合)等々によっては、時折、食事を見合わせたり、量を減らしたり、次に持越すなどして調整を図ります。


食事を見合わせると、「せっかく、美味しいのを作ったのに!」と母。申し訳ないと思いながらも敢えて「ごめんなさい。お腹が空いていないから、後でいただくね。」とひと言、ことわりを入れるとすぐさま、「そんな栄養失調をして・・・!」。だから「痩せているんだ」とか、「すぐに風邪を引くのだから」等々、風邪を引いた事や、食事の調整をする私の行動を指摘し、ひと悶着起こりそうな気配です。


「(あなたは)間違っていることをしている」と母は強く主張しています。


確かに・・母の言う事も一理あり、“ごもっとも”と感じる部分については無論です。母なりの家族への思いやり、御小言を言いたいその思わくも伝わって来ます。


一本気で、何事も筋を通さないと気の済まぬ母に「そこまで言わなくとも・・」とか「そんな言い方しなくても・・」など、時折、何かしら反論したいような気持ちになったり、「果たしてそうかしら?」と疑問に感じて、自分の正論(と思っている事)を主張したくなったりします。


とは言え、「○○だから、××なのよ。」と私の主張を通せばいいのでしょうか?

それについては「私が(絶対的に)正しい」との押し売りになるだけでは?


持論を強調する、自我を押し通せば、エゴの働きに拍車がかかります。


そうなればますます、「あなたは間違っている」との指摘に留まらず、強制的に「私が正しい」と認めさせようとする危険性もはらんでおり、心穏やかではありません。


エゴの働きに感けて相手と対する時、自我は疲弊します。間違いを示そうとするあまり、本来の思いやり溢れる人類総幸福社会とはほど遠い結果を招くことになるのです








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